愛犬がきちんとトイレで排泄してくれないのは、飼い主にとってとてもストレスですよね。
ただ、犬が粗相をするのには理由があります。
愛犬がわざと粗相をしているのはどんな時で、どんなふうに考えているのでしょうか?それを知ることで、犬の粗相の対策をすることができます。
犬の嫌がらせの粗相の原因は、大きく分けて2つあります。
- 過去の成功体験(声をかけてもらえた)から粗相をする
- ストレスを感じた時の転移行動
そこで、犬の嫌がらせの粗相の2つの原因に対しての対策を解説して行きます。
また、同じ場所に粗相をする意味や、犬が粗相した時にケージに入れるのはNGである理由なども一緒にチェックして行きましょう。
おしながき
犬の嫌がらせの粗相への対策|ちゃんと治らないの?
愛犬が病気などではなく、わざと粗相をしたら「私に対する嫌がらせ?」と思ってしまいますよね。ですが、実は犬には悪意はないのです。
犬はとっても純粋で素直な性格なので、「飼い主を困らせてやろう」と思って粗相をしているのではありません。
ただ、遊んでほしい、かまってほしいと思う気持ちから、トイレ以外のところで排泄してしまうのです。
では、どのように改善対策を取れば良いのでしょうか。
過去の成功体験から粗相をする場合の対策には、こちらの2つがあります。
- 過去の成功体験(声をかけてもらえた)から粗相をする
- ストレスを感じた時の転移行動
詳しく説明して行きます。
過去の成功体験から粗相をする場合の対策
例えば、犬が粗相をした時に、あなたが「どうしてこんなところでうんちしちゃうの?!」などと声をかけたとします。
すると犬は、「うんちをトイレ以外でしたら飼い主さんが声をかけてくれた!」と思ってしまうのです。
何度もトイレ以外で粗相をされると、嫌がらせされているように感じます。
ですが、このように、ただかまって欲しいだけの場合が多いです。
排泄物を大騒ぎしながら片付けたりなんかすると、「飼い主さんが喜んでくれてる!」と考えるかもしれません。
犬は、嫌がらせではなくむしろ、あなたを喜ばせようと粗相をしている可能性もあるのです。
そんな過去の成功体験から粗相をする場合の対策には、こちらの2つの方法があります。
- たくさん遊んであげる
- 正しい成功体験をさせる
対策1:たくさん遊んであげる
かまってほしくて粗相をしているなら、なるべく寂しい思いをさせないというのも解決策の一つです。
普段から愛情をたっぷり注いであげてください。
ただ、構いすぎは反対に分離不安症の原因になることもあります。
構う時は適度な距離感を保つことが大切です。
犬が構って欲しい時ではなく、飼い主さん主体になってあげるのが理想です。
例えば遊ぶ時間などの時間をあらかじめ決めておくというのも良いですね。
犬が「遊んで」や「撫でて」という要求をするたびに毎回それに応じていると、飼い主さんは要求すればいつも答えてくれると犬主体になってしまいますので気をつけましょう。
対策2:正しい成功体験をさせる
「正しい場所でトイレをすると飼い主さんが喜んでくれる」と、犬に正しい成功体験をさせることでも治すことが出来ます。
まず、今まで、粗相をした時に騒いだり、大声で怒ったりしていたのなら、これからは黙って排泄物を片付けまます。
そして、反対に、トイレで上手に排泄ができた時にはしっかりと褒めてあげてください。
「うんちできたね!」「おしっこできたね!」とお祭り騒ぎして、おやつをあげるのも良いですね。
ストレスを感じた時の転移行動で粗相をする場合の対策
あなたが犬に怒った後に、粗相をしたら、あなたは「さっきの仕返しか?」と考えます。
ですが、この場合の犬の心理行動は、「転移行動」と呼ばれるものかもしれません。
転移行動とは、何かストレスを感じることがあった時に、そのこととは全く関係のない行動をすることで自分を落ち着かせる行動のことです。
例えば、飼い主に何かをして怒られると、犬はストレスを感じます。
そのストレスを落ち着かせるために、全く関係ない排泄という行為をするのです。
また、自分を落ち着かせるだけでなく、ストレスの原因となる相手を落ち着かせたい時にもこのような行動をすることがあります。
怒っている飼い主さんに落ち着いてもらおうと、排泄をしている可能性もあります。ちなみに、相手を落ち着かせようとする転移行動は「カーミングシグナル」とも言います。
また、犬はとてもストレスを感じやすい動物です。
環境が変わることにも大きなストレスを感じます。
例えば、家族が増えたり、新しいペットが来たり、引っ越しや模様替えなどでもストレスを感じることがあります。
そんなストレスからの転移行動で粗相をする場合の対策には、2つの方法があります。
- 怒るのではなく、躾ける
- 環境を大きく変えすぎない
対策1:怒るのではなく、しつける
犬が何か失敗した時には、大声で怒鳴ったり、怒ったりしれはいけません。
短く低い声で「だめ」と言ったり、無視をしたりしましょう。
そしれ、うまくできた時にはしっかり褒めます。
短く叱る・大きく褒める、という方法を繰り返すことが正しく躾の方法なので、これを繰り返すうちに犬は正しいトイレの仕方を覚えて行きます。
対策2:環境を大きく変えすぎない
なるべく環境が変わらないように気をつけてあげることも必要です。
どうしても環境を変えないといけない時には、少しずつ変えて慣れさせてあげてください。
そして、もし環境が変わったことで粗相が増えたなら決して叱らないであげてください。
犬が不安にならないように黙って片付けて、新しい環境に慣れるのを見守ってあげる必要があります。
どのような理由にしても、まず大切なのは犬を知ることです。
犬は嫌がらせで粗相しているのではなく、寂しい気持ち、ストレスが原因です。
普段から犬の様子を観察して、粗相の原因を見つけてあげ、適切な対応をすれば、必ず解決できます。
犬の粗相がわざとかどうかの判断するための9ポイント
犬の技との粗相の原因にはいくつかあることが分かりましたよね。
では、わざと粗相したのか、そうではないのか、の判断はどうすれば良いのでしょうか。
そこで、犬の粗相がわざとかどうかの判断するための9ポイントをチェックしましょう。
どれに当てはまるかで、粗相がわざとかどうか、分かります。
- 飼い主の気を引きたい、寂しい、構ってほしいと思っている
- 排泄自体が悪いことだと思い、隠れたところでしてしまう
- ストレスを感じている
- マーキング
- 分離不安
- 今のトイレの場所や環境が気に入らない
- 排泄したくなる柔らかいものが置いてあるところでしてしまう
- 前の排泄の匂いが残っていてそこでしてしまう
- 病気や老化
あなたの愛犬はどれに当てはまりますか。
9の場合のみ、粗相がわざとではなく体調によりしょうがないものだと言えます。
ただ、その他の場合であっても、犬はわざと粗相したとは自分では思っておらず、しょうがなくトイレ以外のところでしている、と思っているでしょう。
犬におしっこもうんちもどちらもトイレでして欲しい場合は、失敗したら短く怒り、成功したら大袈裟に褒める、ということを繰り返すしかありません。
また、ストレスやトイレ環境が良くないことが原因ならば、ストレスをなくして、トイレの場所を変えたり広くしたりという対策をすることで、改善して行きます。
例えばうんちだけ失敗する場合
例えば、あなたの愛犬が【おしっこはトイレでするけどうんちは別のところでする】という場合、トイレの場所自体は覚えている可能性が高いです。
おしっこの場所はそこでも良いけれどうんちはしづらい場所、と愛犬が考えている可能性があり、快適にうんちができる場所に改善する必要があります。
もしくは既におしっこがあるとうんちをしない、という場合には、おしっこしたらすぐにトイレシートを変えてあげるようにすると良いですね。
また、すぐにおしっこを片付けてあげられない場合は、別の場所にうんち用トイレを作ってあげる必要も出てくるでしょう、
普段から犬の排泄の記録をつけて、できるだけトイレの行動を観察しましょう。
そして、どんな時にどこで排泄しているかを見て、わざとかどうかを判断し、原因別に対策をするとトイレの失敗は徐々に減って行きます。
犬が粗相をしてイライラするのはNG
先ほどお伝えしたように、犬はストレスを感じるとわざと粗相します。
それについて、あなたはついイライラしてしまうかもしれません。
しかし、あなたがイライラしている時、実は愛犬だってイライラしているでしょう。
なぜなら、自分の落ち着ける環境ではない家に、ずっと居させられているからです。
あなたは一杯一杯で愛犬にイライラしてしまうかもしれないですが、愛犬だって長いことをストレスを溜めさせられて良い加減イライラしても良いくらい限界なのです。
それでも、犬はイライラして家族に当たることは少ないですよね。だからこそ余計にそのストレスの転移行動として、粗相をしてしまうわけです。
あなたがイライラしても、愛犬の粗相が治るわけではありません。
むしろ、あなたがイライラすることで「排泄=悪いこと」と思ってしまい、より分かりにくい場所で粗相をしてしまう、というように状況が悪化してしまう可能性も。
犬が粗相をしてもイライラするのは絶対にNGです。
短く叱る、大袈裟に褒める(おやつをあげる)という単純な方法をとにかく繰り返して、愛犬がトイレしやすい環境を整えてあげてくださいね。
トイレに同じ場所にする意味は縄張り主張
自分の落ち着けない環境にいる愛犬はトイレの粗相もそうですが、マーキングをして自分の匂いを充満させて落ち着ける環境を作る、ということもします。
もしもトイレではないけどいつも同じ場所で排泄、もしくはマーキングをしているのであれば、ストレスから緊張を和らげるために、縄張りとして匂いをつけていると考えられます。
最近、次のような変化はありませんでしたか?
- 引っ越しや模様替えをした
- 家族が増えた
- 新しいペットが来た
このような変化があった時には特に愛犬の様子を気にかけましょう。
犬にとってストレスのない快適な環境になるよう対策するために、引っ越しや模様替えをした場合は、愛犬が落ち着ける場所を部屋の一角に確保してあげる必要があります。
そこを愛犬の場所として確保してあげることで、「家のその他の場所にも自分の匂いをつけないと落ち着かない」という状態が減るでしょう。
そして、新しい家族やペットが増えた場合は、部屋を分けたり、愛犬だけの時間を作ってあげたりすると良いですね。
犬が粗相をしてもケージに入れるのがNGの理由とは?
犬が粗相をした時にケージに入れる罰を与えるという間違った方法が横行しています。
粗相をしてケージに入れられても、犬にとっては理解ができません。「なぜか怒られてケージに入れられた」と思い、ケージが嫌いな子になるだけです。
犬が粗相をしたり何か失敗をした時に、飼い主が怒って叱りながらケージに入れると、ケージ自体が嫌なものになってケージに入るのを嫌がるようになってしまうんです。
犬は「粗相するとケージに入れられちゃうんだ」と理解できません。ケージに入れられたくないから粗相しないようにはならないのです。
粗相をしたらケージに入れる罰を与える、というのが全く意味のない無駄な行動だということが分かりますよね。
この行動はむしろ「犬に粗相されてイライラしたから犬をケージに入れてやる!」と飼い主の負の感情から行われていることがほとんどでしょう。
イライラしたあなたは「閉じ込めてやった」と幾分スッキリするかもしれないですが、あなたの感情がスッキリするだけで粗相の解決にはまるで何の役にも立ってません。
悪いことをしたらケージに入れるのは、何の解決策にもならない
粗相をした時に排泄物を片付けて掃除したいのに、足にまとわりついて来たりして邪魔になってしまう場合には一時的にケージに入れるのもありです。
しかし、罰としてケージに入れてしばらく出さないというようなことはしても意味がないし、むしろケージ嫌いの子になってしまうので、しない方が良いでしょう。
トイプードルは粗相以外にも嫌がらせに見える行動をする?
トイプードルは、特に寂しがり屋で不安を感じやすい犬種です。
構って欲しいと飼い主の気を引こうとする行動が多いかもしれません。
そんな寂しがり屋な性格の多いトイプードルは、粗相以外にも嫌がらせに見える行動をするので、そんな行動にイライラさせられることもあるかもしれません。
粗相以外には、このような行動をわざとして、あなたの注目を集めようとします。
- モノを壊す
- 部屋を荒らす
- 部屋やケージの中で暴れる
ただ、これは決して飼い主を困らせようと嫌がらせしているのではありません。
「寂しい」「構って欲しい」という気持ちがエスカレートし不安が大きくなりますよね。
そうすると分離不安症になり、こういった問題行動を起こしてしまうようになるんです。
なので、犬が粗相だけでなく、普段と違う行動をしている時には、注意深く犬の様子を観察して対処してあげる必要があります。
粗相や問題行動には必ず原因があります。
しかし、原因さえ分かれば、対策ができます。
絶対に怒ったり叱ったりしないことは守ってくださいね。
その代わり、正しい成功体験をさせてあげたり、トレーニングをしたりして対策しましょう。